平成22年10月15日掲載 |
2010年は国連の「国際生物多様性年」 =名古屋で10月に生物多様性条約会議= 2010年は国連が定めた、国際生物多様性年なんです。地球上にはたくさんの生き物がいる、長い進化の歴史の中でさまざまな環境に会うように育ち、お互いにかかわり合いながらバランスを保って生きている、こうした状態を「生物多様性」と言う。食べ物はもちろん、身の回りの品の原料などわたしたちが生きていくために生物の多様性はなくてはならないものなんだ、でも、この生物多様性がどんどん失われている。 地球上の生き物は知られているものだけで約175万種にのぼる、動物や植物はもちろん、細菌のような微生物など目に見えないものもある。まだ見つかっていない生き物が、すでに分類されているものの何倍もいるといわれる、生き物の宝庫とされる熱帯地方のジャングルでは毎年のように新しい生き物が発見されている。 国連の報告によると、生き物が絶滅するスピードは自然な状態の1,000倍になっているという、絶滅数についてはイギリスの科学者が出した年4万種という説が有名だ、約13分に1種が絶滅していることになる、地球の数十億年の歴史で現代は6回目の大量絶滅時代とされる。 多様な生き物をその環境と共に守ることなどを目的に、1992年に生物多様性条約ができた、191の国と地域が加盟している。2010年10月名古屋市で同条約の第10回締約国会議(COP10)が開催される、2002年にオランダで開かれた第6回会議で10年までに生物多様性が失われる速度を大幅に落とすことを申し合わせたが、成果があったとはいえない状況だ、名古屋会議ではこの間の取り組みの検証と共に今後の活動の目標などが話し合われる。 生物多様性条約@生物の多様せを守るA生物のめぐみを持続的に利用できるようにするB遺伝子を利用して得られる利益は公平に分配する、の3つを柱としている。1992年に開かれた国連の環境開発会議(地球サミット)で調印された。日本は93年に批准、アメリカはバイオ企業の権利の保護が不十分などとして加わっていない。 私たちの暮らしをさまざまな形で支える生物の多様性、その損失が深刻さを増す中保全や持続可能な利用を話し合う生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が10月18日〜29日名古屋市で開かれる。2020年〜50年に向けた新たな保全目標を決める節目の会議だが、利用の有り方をめぐっては先進国と発展途上国が激しく対立。議長団日本が手腕を試される状況となっている。 生物多様性会議の二つの主要議題は2010年以降の新たな多様性保全の国際目標と、医薬品開発などに役立つ「遺伝資源」の利用に関する新たな議定書の策定だ。特に遺伝資源の利用をめぐっては発展途上国と先進国が激しく対立、最終盤の10月27〜29日に予定される閣僚級合に向けぎりぎりの交渉が続きそうでだ。 対立の背景には例えば企業がアフリカなどで採取した薬草から医薬品や健康食品を開発しても、売り上げによる利益が原産国に十分に還元されてこなかったとする途上国の根強い不満がある。原産国への利益配分の実現は1992年に採択された生物多様性条約の目的の一つ。国際枠組みの検討完了の期限だった2010年を迎えてようやく議定書の骨格が見えてきたが、遺伝資源が豊富な途上国と利用企業を抱えて制約を小さくしたい先進国の主張には大きな隔たりが残る。 アフリカ諸国など途上国は遺伝資源だけでなく、それを基に新たに合成した成分にも利益配分の対象を広げるよう要求。また、植民地時代に先進国が持ち出した多数の植物も対象に含めるよう求めており、先進国はこれに反発している。 新たな保全目標は多様性の損失に歯止めがかからない現状を受け、2020年までの短期目標と2050年までの中長期目標を検討。短期目標案は海や陸上での開発行為を制限する保護区の設置割合など20項目からなるが、多くの項目で意見が対立する。 途上国が求める資金援助の拡大に先進国がどう答えるのかも、全体の議論の進展に影響しそうだ。今回、新目標に合意できなければ「空白期間」が生じ、各国の保全対策が足踏みする恐れも。政府からは期待された成果が出せなかった昨年の地球温暖化交渉を年頭に「二の舞になりたくない」との声も漏れる。 会議では条約に未加盟の米国を巻き込むため、2020年までを「国連生物多様性の10年」とする方針を確認し、自然の利用と保全の両立を促す日本主導の「里山イニシャチブ」なども議論する。 ◎国連環境計画チームの報告書「生態系と生物他余生の経済学」は何も対策をしなかった場合、生態系の破壊による経済損失は世界で年間最大4.5兆ドル(約380兆円)に上ると試算。一方で、その1%にあたる毎年450億ドルを自然保護に投じれば、生態系から得られる利益は年5兆ドル相当になると指摘する。チームは10月の生物多様性会議で最終報告を発表。保全のための解決策や地域ごとの分析を示し、自然の経済価値を考慮した企業の在り方などを提案する。 以上 |