平成21年9月14日掲載
岩村  博
          外出しないと歩行障害認知症リスクが倍増!!


   寝たきりや認知症にならずに老後は過ごしたい。東京都老人総合研究所の長年の研究によ れば、老化予防には栄養面・体力面だけでなく、三つ目の柱として社会面からの取り組みが 大切。社会面からの予防とは、定年退職後の社会参加・1日1回の外出が老化予防に効果あり という最新研究が注目されている。  年をとれば、身体はだんだん動かなくなり頭の働きも鈍くなる。

そして、いつか他人の手 助けを必要とする日がやってくる、高齢化時代を迎えて、今多くの人々が健康長寿を願い寝 たきりの長寿にはなりたくないと不安をつのらせている。  高齢者の「閉じこもり」は、本人の健康にどのような影響を及ぼすのか。外出する回数が 1週間に1回以下の人は毎日外出する人比べて歩行が不自由になるリスクが4倍、認知機能 が低下するリスクが3.5倍にもなる。

 足腰の達者な人は自分の足でどこへでも行けるので、生活空間は広い。逆に、足腰が弱っ て外出したがらない人は生活空間が狭まる。一方、足腰は達者でも閉じこもりがちで生活空 間が狭くなると、将来足腰が弱くなるなど健康障害を起こしやすくなる、反対に足腰が弱く ても、よく外出して生活空間を広げている人は健康を維持しやすいというように、高齢者の 生活空間の広がりと健康状態とは相互作用する関係にあることがわかってきたのです。

 社会参加が活発な高齢者ほどよく外出している、外出すれば必ず身体を動かしますし、周 囲の状況や風景、さまざまな標識などから情報を読み取り判断しなくてはならないので頭も 使います。さらに、会合に出たり、人前で話したりすれば認知機能を総動員することになる でしょう、要するによく外出する人は身体と頭をよく使っているということです。

 仕事や趣味・稽古ごと・ボランティア活動が、なぜ健康余命を延ばすのか、その理由の一 端がここにあります。社会参加が活発な高齢者ほどよく外出しており、そのため足腰の力や 認知機能が維持されやすく健康長寿につながっていると考えられるのです。

 高齢者の社会参加は心身の健康保持、生活の質の維持、介護予防など、本人にとってのメ リットが大きいだけでなく地域にとってもメリットがある。 地域にはさまざまなボランティア活動や自己啓発のための生涯学習、趣味・楽しみ・交流を 目的としたサークルなど皆さんの参加を待っている多くの場があります。一歩踏み出せば外 出の機会が増え生活空間が広がります。口コミ・広報・チラシなどから情報を得て興味の持 てることに参加していくことから始めましょう。まずは1日1回の外出である。

                                                  以上

HOME   BACK